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痙性麻痺を重点主張し将来介護料を獲得|脊髄損傷|交通事故

名古屋高裁 【一審】名古屋地裁管内

■重い脊髄損傷(判例004)
■後遺障害等級:1級 確定年:2004年
■名古屋高裁 【一審】名古屋地裁管内

被害者の状況

①25歳・男性( )
頚髄損傷の重傷(1級3号)
② 信号待ちで停車していた乗用車に、後続の大型貨物車が居眠り運転で追突。乗用車に乗っていた被害者が重傷を負った
③ 被害者は、頚髄損傷による痙性(けいせい)麻痺の後遺症がひどく、筋肉や関節が特に固くこわばっていたため、介護にあたっていた母親は体位交換や排泄介助など相当な重労働を強いられていた

認められた主な損害費目

将来介護料 約8,100万円
逸失利益 約8,300万円
後遺障害慰謝料 約2,800万円
近親者慰謝料 約500万円
住宅改造費 約1,500万円
将来雑費 約1,100万円
介護用具代 約1,100万円
その他 約3,500万円
約2億6,900万円

▲過失相殺なし

詳細

本件の問題点

当事務所は、日常介護の手順、特に排尿・排便のことや介護機器の操作補助等、常時介護が必要であることを重点的に立証し、高額な介護料の必要性を主張したが、被告側は「被害者は公的給付(市役所からの福祉手当)を受ける可能性が高い」という理由で、介護料の減額を求めて反論してきた。

・母親が70歳まで・母親が70歳以降、原告の余命まで
平日 年240日 祝日休日 年125日 年間365日
職業介護人日額 1万8,000円
家族介護人日額 3,000円

合わせて日額1万500円の介護料を認めた。
家族介護人日額8,000円 職業介護人日額1万8,000円
年間通して日額1万8,000円を認めた。

裁判所の判断

①裁判所は、「公的給付は社会福祉制度に基づく給付であって、損害をてん補する性質はないので、これを前提に損害を算定するのは相当とはいえない」とし、結果的に被告側の主張を却下。被害者の母親が70歳になるまでは、1日5時間の内職に対し「職業介護人」の必要性を認め、70歳までは日額1万5,000円、70歳以上は日額18,000円という、脊髄損傷では高額な介護料を認めた。

②住宅改造費に関しても原告が請求した1,500万円が満額認められた。

③被害者は大学を卒業して一時就職後、資格取得のためにアルバイトをしていたが、逸失利益の基礎収入の算定にあたり、大学卒の平均賃金が採用された

④後遺障害慰謝料については、本人2,800万円、両親500万円(各250万円)、合計3,300万円の高額が認められた。

当事務所のコメント

①丁寧な立証と積算をした結果、住宅改造費が満額認められたほか、逸失利益につき大卒を採用し、介護料についても、母の内職に対し職業介護人の必要を認めた判決。

②また、将来雑費・車椅子・装具・福祉機器・車両改造費等も高額で認められた。