バイク急ブレーキ衝突再検証で過失逆転|脊髄損傷|交通事故
さいたま地裁 (和解)
■重い脊髄損傷(判例012)
■後遺障害等級:1級 確定年:2010年
■さいたま地裁 (和解)
被害者の状況
①26歳・男性(会社員)
第6頚椎損傷 1級
② 大型バイクで直進中、左方駐車場から右折した被告車両が衝突。原告は加害車両を避ける為ブレーキ操作の結果転倒し被害車両に衝突。
認められた主な損害費目
将来介護料 |
約9,400万円 |
逸失利益 |
約9,300万円 |
住宅改造費 |
約2,600万円 |
車椅子・介護ベッド |
約500万円 |
介護車両 |
約400万円 |
介護雑費 |
約600万円 |
傷害慰謝料 |
約350万円 |
後遺障害慰謝料 |
約3,000万円 |
その他 |
約3,050万円 |
損害額 |
約2億9,200万円 |
過失15%控除後損害額 |
約2億4,700万円 |
既払控除(労災) |
-約1,500万円 |
既払控除(任意) |
-約2,300万円 |
既払控除(自賠責) |
-約4,000万円 |
最終金額 |
約1億6,900万円 |
詳細
加害者の主張
・原告のバイクが転倒・滑走して、自車のバンパーに衝突してきたので、原告側にも50%の過失がある。
・この事故の後遺症で車椅子生活となったものの、元の職場に復帰していたため、被告側は「満額の逸失利益は必要ないのではないか?」と主張。
裁判所の判断
①当事務所は事故車の痕跡などを根拠に加害者の無謀な飛び出しと反論。その結果、裁判所は過失50%という相手の主張を却下し、原告の過失を15%と判断した。
②後遺障害に対しては、後遺障害そのものの重さや日常生活上の問題を詳細に立証。復職は出来たとしても将来的には職を失う可能性もあることをについて主張したところ、「復職して最初の5年間は年収の半分を、5年後からは職を失うかもしれないので満額を認める」という内容の和解となった。極めて実務的で妥当な判断である。
③介護料については、平日の職業介護1万5000円、土日の近親者8000円。母親が67歳以降は1万8000円と、我々の言い分がほぼそのまま認められたところ、この介護料は極めて高額なもので、後の参考となるものである。
当事務所のコメント
・四肢麻痺の場合、職種によっては復職が可能である。特に本件被害者のように両手に麻痺がない場合は、逸失利益の考え方が争点となることが多いのが現実だ。この点が争いになることは多い。とはいえ、復帰を果たしても必ずしも雇用が継続するとは言い切れないため、相手の主張に屈せず、最悪の事態を想定した反論をすることが必要だ。本件の和解案は、我々の主張を反映したもので、極めて穏当な内容で、依頼者にもご満足いただけた。