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頚髄損傷による四肢麻痺1級の60代男性につき将来施設介護料につき月額80万円が認められた事例

東京地裁管内

■重い脊髄損傷(判例019)
■後遺障害等級:1級 確定年:2011年和解
■東京地裁管内

被害者の状況

①64歳・男性(給与所得者)
受傷時64歳・症状固定時65歳・男性(給与所得者)
信号機のある交差点で被害車両が右折しようとしたところ、直進してきた対向加害車両と衝突した
頚髄損傷による四肢麻痺1級

認められた主な損害費目

逸失利益

約1,730万円

将来介護費

約8,750万円

将来介護雑費

約640万円

傷害慰謝料

約400万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約100万円

近親者固有慰謝料

約600万円

損害額

15,020万円

過失相殺(75%)

-約1億1,270万円

調整金(※1)

約250万円

最終金額

4,000万円

   ※1弁護士費用及び遅延損害金相当額

詳細

加害者の主張

①病院での施設介護が将来に渡って続くかどうかは疑問があり将来施設介護料は控え目に算定すべきであることを同趣旨の最高裁判例を指摘して主張
②双方青信号で被害者が右折した事案であるとして被害者に8割の過失があると主張

裁判所の判断

①被害者は事故後、既に3年以上もの長期にわたって同一の病院に入院継続しており、将来に渡っても同病院にて介護を受けていくことは明らかであることを指摘、また加害者の指摘する判例は、あくまでも現在の水準での介護料の支出が継続する蓋然性(可能性よりもより確実にそうなると考えられる状況)に疑いがある場合には控え目に算定するべきことを判示しているのみであり、本件ではこれまでと同水準の介護料が発生することは明らかであるため、控え目に算定してはならないと主張した。結果、全面的に主張が認められて、請求額通り月額約80万円(これまでに既に発生している介護費の平均額)の将来施設介護料が認定された。
②刑事事件では双方青色での交差点進入が前提となっていたところ、信号サイクルや進入時の速度等に照らして、必ずしも双方ともに青色であったとはいえないという点を指摘し、加害者の過失相殺の主張は立証できておらず、最も被害者に有利な過失割合を採用すべきであると主張した。これを受けて裁判所和解案では、必ずしも加害者側の供述が信用できるとは言えないとして被害者の過失は75%に留まるとした。
③和解金額は約4,000万円となった。

当事務所のコメント

①将来介護費用の請求に際しては、現状の介護体制がずっと継続するのかどうかという点は特に介護料が高額となるケースでは相手方から争われるケースが多く見受けられます。本件のように、請求時点においてしっかりと将来に渡る介護体制を確立しておくこと、またその状況を説得的に立証することで、適切な介護料の認定を得ることに繋がります。
②刑事事件で被害者に相当不利な認定がなされた場合でも、そのままを鵜呑みにしてしまわずに、多角的に検討して少しでも有利な認定に繋がる事実や可能性を指摘していくことが肝要です。

- 引用 -

頚髄損傷による四肢麻痺1級の60代男性につき将来施設介護料につき月額80万円が認められた事例