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被害者主婦の家庭影響を立証|高次脳機能障害|交通事故 弁護士

東京地裁管内

■高次脳機能障害(判例023)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2007年
裁判所認定額 約1億9700万円
■東京地裁管内

裁判所認定額 約1億9700万円

被害者の状況

①50歳前後・女性
② 青信号でT 字路交差点の横断歩道を横断中、右折の普通乗用車が衝突。
③ 頭部外傷、外傷性脳動脈解離、脳梗塞等の傷害を負い、左上肢機能麻痺と体幹機能麻痺を伴う高次脳機能障害1級の後遺障害。
④ 自営業の手伝いと家事を切り盛りしていた被害者が事故に遭ったことで、夫は妻の介護のために事業の収入が激減した。

認められた主な損害費目

逸失利益 約4,100万円
将来介護料 約9,600万円
介護雑費等 約1000万円
住宅改造費 約700万円
後遺障害慰謝料 約2,800万円
近親者慰謝料 約700万円
その他 約800万円
約1億9,700万円

詳細

加害者の主張

①被害者は相当部分自立しており、随時介護で足りる。

②被害者が希望する職業介護による介護サービスは将来進歩し、低額化するため、減額すべき。

③逸失利益は被害者の生活費部分を控除して、全体から15 %控除すべき。

裁判所の判断

①将来介護料について当事務所は「被害者の障害は重く、着替え・食事・トイレ・入浴など、日常生活全てに介護が必要である」という証拠を沿えて主張し、職業人介護による常時介護料を請求した。それを受けた裁判所は介護の程度と日常生活動作の一つひとつを検証し、「理解力の低下が最も重篤、また意味不明の言葉を口走ることがある。放っておくと車椅子からの転落やガスの付け放しがあり危険、指示をしないと服薬や通院など必要なことを何もしようとしない」ことから、「日常生活において、常に行動を看視し、指示、声かけをする介護者の存在を欠かすことができない状態」と認め、その上で、事業復帰を望む夫や、就業や学業をしている子ども4人の主張をくみ、職業介護人による常時介護料 日額1万8,000円、合計約 9,600 万円を認定した。

②慰謝料については、本人に対し後遺障害慰謝料約 2,800 万円のほか、仕事に就けず妻の介護に専念せざるを得なくなった夫へ 約 300 万円 、多大な精神的苦痛を被った4人の子へそれぞれ100 万円、合計 3,500 万円という高額が認められた。

③逸失利益は、被告から 15 %控除を主張されていたが、原告の主張どおり、症状固定時の基礎収入と労働能力喪失期間 17 年間で、控除されることなく満額の約 4,100 万円が認められた。

④介護雑費等は、紙おむつ等の雑費として月額 3 万 5,000 円、車椅子や介護ベッド代等、合計約 1,000 万円のほか、住宅改造費も認められ、損害額は総額 1 億 9,700 万円となった 。

当事務所のコメント

家事や家業を切り盛りする主婦が被害に遭い、要介護状態になるということが、家族生活にどれほど大きな打撃を与えるかということについて、家族からしっかりヒアリングを行い、立証することが大切である。本件ではそうした主張が認められ、将来介護料や慰謝料の増額につながり、ご家族には大変喜ばれた事案である。