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一人暮らし高次脳機能障害者の大論争の末高額和解|交通事故

東京地裁管内(和解)

■高次脳機能障害(判例032)
■後遺障害等級:3級
併合2級 確定年:2008年
裁判所認定額 約1億3,500万円
■東京地裁管内(和解)

裁判所認定額 約1億3,500万円

被害者の状況

①26歳・男性(会社員)
② 自動二輪車で直進中、対向右折車が衝突(被害者側の過失10%)
③ 脳挫傷の重傷。高次脳機能障害3級、併合2級
④ 事故発生から提訴までに、7年という長い歳月がかかった事案。その間、高次脳機能障害を負った被害者は、なんとかして自立を促そうとした親の方針によって一人住まいを余儀なくされていたが、結果的に「死にたい」と漏らすようになり、母親が毎日通いでの介護を強いられていた。

認められた主な損害費目

逸失利益 約1億1,500万円
将来介護料 約1,300万円
休業損害 約600万円
後遺障害慰謝料 約2,300万円
その他 約900万円
総損害額
約1億6,600万円
過失相殺10%控除後損害額 約1億4,900万円
既払金控除 ▲約4,800万円
既払金控除後 約1億100万円
調整金※ 約3,400万円
最終金額 約1億3,500万円

(※弁護士費用及び遅延損害金相当)

詳細

加害者の主張

①一人で生活ができるのだから、労働能力喪失率は100%ではない

②「半自立」の状態なので高次脳機能障害等級は3級ではなく5級であり、将来介護料は不要。

裁判所の判断

①たしかに被害者は、退院後一人暮らしをしていたが、現実には自立は困難で、自殺願望も出ていた。そこで当事務所は専門医の援助を得て、現実的には社会人としての自立は無理であり、高次脳機能障害等級は3級で労働能力喪失率も100%であることを緻密に立証した。

②同時に、被害者の一人暮らしを解消させ、本格的なリハビリを受けながら、本人の障害の実態に合う生活スタイルに変更することを提案し、損害賠償の請求訴訟に取り組んだ結果、裁判所は1日2,000円の将来介護料を認めた。

③逸失利益は大卒の平均賃金が100%認められ、1億1,500万円と高額になった。

④事故から解決まで9年という歳月が流れていたこともあり、和解ではあったが、遅延損害金と弁護士費用を合わせて、3,400万円(35%)という高額が認められた。

当事務所のコメント

①本件の場合、両親が息子に自立を促し、「一人住まい」を選択させていた。それは、被害者であるわが子への愛情があるからこその対応だったが、残念ながらそこには高次脳に対する間違った判断があったといわざるを得ない。その結果、息子は希死念慮を持つようになってしまっていた。

②「被害者の一人住まい」は、被告側から見れば、事実上、反論の材料になることを胆に銘じるべきである。本件は、高次脳の被害者に対する家族リハビリの必要性を痛感させられた事案だといえるだろう。

③高次脳機能障害に対する無理解は、医療関係及び家族にも存在する。高次脳機能障害を熟知した我々でなければ解決し得ない事案であった。