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画像所見なし高次脳機能障害非該当を裁判で7級認定|交通事故

名古屋地裁管内

■高次脳機能障害(判例083)
■後遺障害等級:7級
併合6級 確定年:2012年
弁護士交代事案
■名古屋地裁管内

弁護士交代事案

被害者の状況

①24歳・女性(会社員)
② 被害者がバイクの後部座席に同乗して直進中、対向右折車と衝突。バイクの運転者は死亡。
③ 左手関節機能障害12級ほか併合11級 →裁判所認定 高次脳機能障害7級ほか併合6級
④ 被害者は事故後、人格変化やコミュニケーション能力低下を中心とした高次脳機能障害があるとして、前任弁護士が2度異議申立をしたが、自賠責はいずれも画像所見が見当たらないことや顕著な意識障害もないことを理由として、同障害を認めなかった。
⑤ 前任弁護士が訴訟担当、当方受任は事故から7年後。

認められた主な損害費目

逸失利益

約4,260万円

休業損害

約1,630万円

傷害慰謝料

約280万円

後遺障害慰謝料

約1,180万円

その他

約350万円

損害額

約7,700万円

既払控除(任意)

-約210万円

既払控除(自賠責)

-約310万円

弁護士費用及び利息

約730万円

判決額

約7,910万円

補足:遅延利息(約9年8ヶ月間)

約3,570万円

詳細

加害者の主張

自賠責の認定通り、被害者に高次脳は認められない

裁判所の判断

①被害者本人と家族から状況を詳しく聞き取った上で、高次脳機能障害があることを確信した当事務所は、被害者が事故の衝撃で14メートル飛ばされ、多発外傷(顔面を含む)や歯が脱臼などを負うほど頭部に強いダメージを受けたこと、さらに事故前後の記憶が無く、低レベルの意識障害があったことを、カルテ分析及び高次脳機能障害の専門医の診断と意見書で緻密に立証した。

②その結果、裁判所は、高次脳機能障害を否定する被告側医師の意見書を却下し、交通事故と高次脳機能障害の因果関係を認めて、7級(併合6級)と判断し、約7,910万円の賠償に加え、事故から10年近い遅延損害金を認めた。

当事務所のコメント

①高次脳機能障害の判定に当たっては、以下の3要件が欠かせない。

(1)交通事故により脳外傷があること

(2)一定期間の意識障害があること

(3)高次脳機能が障害し日常生活が支障していること
しかし、人命救助を最優先する救命救急の現場では、まず、出血を伴う外傷の手当が優先し、生命にさほど影響しない軽度脳外傷は優先度が下がり、結果として高次脳機能障害が見逃されることも少なくないのが現状だ。本事案は、自賠責の認定基準においてⅠとⅡが認められず、後遺症認定がなされなかったにも拘らず、裁判上で高次脳機能障害を認めさせた画期的な裁判例といえる。

②件は事故から判決まで10年近くを要し、約3,500万円もの延滞利息が発生したことで弁護士費用に十分充当することができ、原告には大きなプラスになった。特にカルテを十分検討したことが勝利につながった。また、専門医の協力も不可欠であった。