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介護する母親の復職を考慮し、平日の家族介護料日額2万円を認定

一審 福岡地裁管内、二審 福岡高裁管内

■高次脳機能障害(判例101)
■後遺障害等級:1級 確定年:2010年 和解
■一審 福岡地裁管内、二審 福岡高裁管内

被害者の状況

①高校生・男性(高校生)
男性 受傷時高校生
原告が原動機付バイクで直進中,右方からの右折自動車と衝突した(刑事,民事ともに双方赤信号とされた)。
脳外傷による高次脳機能障害1級1号(その他視力視野障害8級相当)

認められた主な損害費目

付添看護料

約800万円

傷害慰謝料

約400万円

逸失利益

約1億円

将来介護料

約1億2,100万円

後遺障害慰謝料

約3,000万円

その他

約1,100万円

損害額

約2億7,400万円

過失40%控除後

約1億6,400万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

既払保険金控除

-約600万円

近親者慰謝料

約300万円

*1)調整金

約6,900万円

最終金額

1億9,000万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金4,000万円を加えて,総額2億3,000万円を獲得した。

詳細

・加害者の主張

①母親による介護が可能であり,近親者介護として介護料は日額8,000円が相当である。
②原告は受傷時高校生であったのだから,逸失利益は高卒平均賃金に基づき算定すべきである。

・裁判所の判断

①母親が被害者の介護に専念するために離職した場合であっても、その介護する近親者が復職を希望している場合には,加害者が復職の機会を奪うことは許されないとの判断を示した。よって、平日は職業介護人による介護を前提に日額2万円,休日は近親者による介護を前提に日額1万円の介護料を認めた。
②原告の主張どおり,高卒平均賃金より高額な学歴計全年齢平均賃金を基に逸失利益を認めた。

当事務所のコメント/ポイント

事故による被害者の介護に専念するために,近親者が離職しなければならない場合がある。このような場合に,加害者が,近親者の介護を前提に低い介護料を主張してくることがあるが,裁判では,近親者の復職を前提に職業介護人による高額な介護料が認められる。

また,一審裁判所が,原告の約2億8,000万円という請求に対して,約2億7,400万円の損害(なお,過失相殺40%を差し引いて約1億6,400万円)を判決で認めた。これを不服として被告が控訴をしたが,二審高等裁判所も一審判決を支持し,約6,900万円という極めて高額な調整金がついた和解となった。その結果,過失相殺40%を差し引いても,総額約2億3,000万円という高額な賠償金を獲得できた。
当事務所は,重度後遺障害の方の事案を常時100件以上抱える専門的な事務所であり,高次脳機能障害を負われた被害者の解決事案はこれまで1,000件を優に超える。経験に裏打ちされた当事務所の丁寧な主張・立証によって,裁判所は全面的に原告の主張を採用したのである。この高額な調整金を獲得できたのも,常に判決による解決を目指す当事務所の姿勢が反映されたものである。

- 引用 -

介護する母親の復職を考慮し、平日の家族介護料日額2万円を認定