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高次脳2級高齢男性、事故以前の精神疾患等を指摘されるも就労可能性が肯定された事例

東京地方裁判所管内

被害者の状況

①77歳・男性(無職)
受傷時77歳・症状固定時78歳・男性(無職) 丁字交差点を直進する加害車両が同交差点付近を横断する被害者に衝突した 高次脳機能障害2級

認められた主な損害費目

逸失利益

約300万円

傷害慰謝料

約320万円

後遺障害慰謝料

約2,370万円

将来介護費

約3,050万円

その他

約250万円

損害総額

6,290万円

過失相殺(20%)

-約1,260万円

損害填補(任意)

-約430万円

損害填補(人身傷害保険過失充当後)※2

-約1,740万円

調整金(※1)

約540万円

近親者慰謝料

約100万円

和解金額

3,400万円

※1遅延損害金、弁護士費用等を含む
※2本件は、訴訟前に人身傷害保険金約3,000万円を獲得している。訴訟では、人身傷害保険金は、自己過失分(本件では約1,260万円)から充当されるので、残りの約1,740万円が過失相殺後の損害額から差し引かれている。
人身傷害保険金約3,000万円を併せた総額は約6,400万円となる。

詳細

加害者の主張

①事故以前から、アルコール依存症や、精神疾患等があったことを過去のカルテ等に基づいて指摘し、被害者は就労可能だったとは言えないと主張。
②医師の意見書に基づいて、事故以前の脳梗塞により脳萎縮が生じていたことを指摘し、これが後遺障害残存に寄与しているとして素因減額を主張。
② 被害者はカルテの記載から、事故当時泥酔状態であったとして、過失相殺率を加算すべきであると主張。

裁判所の判断

①当方からは、家族の陳述書等に基づいて、既往症はあったものの、庭の手入れや完成度の高い印章の作成を行っていたこと等を具体的に主張し、加害者側の指摘する既往症によって労働能力・就労可能性が否定されないことを詳細に反論した。結果、裁判所和解案でも、これらの点を認定して、就労可能性を肯定した。
②医師の意見書は、脳梗塞等が症状の悪化に寄与したのかどうかの機序を医学的に説明しているわけではなく、医師の所見と脳梗塞などの存在から推論を並べているだけに過ぎず、なおかつその推論も成り立っていないということを、主治医の所見や、事故前にはなかった相当重度な症状が事故後に出現していること等を緻密に主張し、加害者側の意見書は採用されるべきではないことを指摘した。裁判所和解案においても、脳梗塞等の影響は加害者によって立証されていないとして、素因減額を否定し、加害者の主張を斥けた。
③泥酔していたとの加害者の主張は、カルテに「泥酔してトラックにはねられる」旨の記載があったことに基づいているが、刑事記録上、アルコール検査がなされた形跡もなかった。そのため、被害者が意識混濁の中で事実にない状況を説明した可能性も大いにあるという点を指摘した。その結果、裁判所も和解案において、泥酔の事実は認定できないとして、過失相殺率は20%に留められた。

当事務所のコメント

①高齢男性の場合、多くの事案では既に退職している、家事従事者ではないという状況から就労に基づいた逸失利益自体を否定されるケースが少なくありません。しかし、今回のケースのように、就労を継続していく意思があったことや、現実に就労可能性を肯定しうる事情があるとの点から、裁判の中で、丁寧にそれらの事情を立証していきました。
また、相手方からも既往症の指摘がなされるなど、通常、完全に逸失利益が否定されうるような事案ではありましたが、当方の詳細な主張立証により、年齢相応の労働能力・就労可能性を裁判所も肯定し、逸失利益が認定されました。
②重度の後遺障害事案では、相手方から医師の意見書等が提出されるという場合があります。今回の事案は、多くの重度事案を解決してきた当事務所の経験から、医学的意見書に対しても、的確に問題点を指摘して同意見書に基づく主張を排斥することができた好例と言えます。
③カルテの記載から、被害者に不利な事故状況を指摘された場合でも、当該記載が誰の、どのような状況での発言に基づいているのかによって、その信用性を争っていくことが重要になります。

- 引用 -

高次脳2級高齢男性、事故以前の精神疾患等を指摘されるも就労可能性が肯定された事例