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過失割合及び逸失利益が主たる争点となった事例。

横浜地裁管内

■高次脳機能障害(判例110)
■後遺障害等級:7級4号 確定年:2012年 和解
■横浜地裁管内

被害者の状況

①9歳・女児(小学生)
女性 受傷時9歳 小学生
原告が自転車で交差点を直進中,交差道路を直進してきた被告自動車に衝突された。
脳外傷による高次脳機能障害7級4号

認められた主な損害費目

入院付添費

約80万円

逸失利益

約3,930万円

傷害慰謝料

約200万円

後遺障害慰謝料

約1,000万円

その他

約80万円

損害額

約5,290万円

*1過失30%控除後

約3,700万円

既払い保険金控除後(任意)

-約240万円

自賠責保険金控除

-1,051万円

人身傷害保険金控除

-約330万円

*2調整金

約1,020万円

*3最終金額

約3,100万円

*1過失相殺分約1590万円は人身傷害保険金から塡補され,実質無関係。
*2調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*3自賠責保険金1051万円,人身傷害保険金約1920万円を加えた総受取額は約6070万円である。

詳細

加害者の主張

①原告は事故当時,下り坂を自転車で高速運転しており,著しい過失があることも考慮すれば,50%の過失相殺をすべきである。
②原告は女性であるから,逸失利益算出の前提となる基礎収入は,統計上の女子平均賃金を前提とすべきである。

原告の反論

①原告自転車の進路が下り坂だからと言って,直ちに「高速だった」と言うことはできず,被告の主張は根拠不十分である。また,刑事記録によれば被告が脇見運転をしていた事実が明らかになっていることも踏まえると,原告の過失は高くても30%にしかならない。
②統計上の女子平均賃金は,男女不平等であった過去の実績は反映されているため,男子平均賃金と比べて不当に低い金額となってしまっている。原告は事故当時小学生と年少であり,男女雇用機会均等が進んだ昨今,性別を理由に基礎収入を低く見積もることは許されない。基礎収入は統計上の男女両方の平均賃金を用いるべきである。

最終的にこれら2点について原告の主張に沿った内容での和解が成立。

当事務所のコメント/ポイント

本件におけるポイントは,過失相殺(「被害者が自転車を高速で運転していた」との相手側の主張に対する対応)と逸失利益(「女児に対しては統計上の女子平均賃金を基礎として算定すべき」との相手側主張に対する対応)である。このうち過失相殺の点に関しては,我々が加害者の刑事処分記録を丁寧に分析し,相手側の主張に根拠がないことを看破,適切な過失割合を認めさせた。また逸失利益の点に関しては,最新の裁判実務上の取扱いを我々において正確に理解していたことから,適切な主張を展開することができ,その結果男女不平等の過去を引き摺った古い考え方を排除することができた。さらに高額な調整金も付加された結果,後遺障害7級にも拘わらず,総取得額としては自賠責保険金及び人身傷害保険金を併せて6000万円に達した。

- 引用 -

過失割合及び逸失利益が主たる争点となった事例。