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高次脳1級の事案において総獲得額2億5000万円超を獲得した例

名古屋地方裁判所管轄内

■高次脳機能障害(判例113)
■後遺障害等級:1級 確定年:2012年 和解
■名古屋地方裁判所管轄内

被害者の状況

①15歳・男性(中学生)
男性 受傷時15歳 中学生
原告が青信号に従い自転車で交差点横断歩道上を横断中,同じく青信号で交差点を左折進行しようとした被告自動車に衝突された。
脳外傷による高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

付添看護料

約340万円

逸失利益

約9,520万円

将来介護費用

約8,340万円

将来装具費用

約280万円

住宅改造費用

約50万円

傷害慰謝料

約330万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約920万円

損害額

約2億2,580万円

既払い保険金控除(任意)

-約490万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

近親者慰謝料

約600万円

*1調整金

約2,410万円

*2最終金額

約2億1,100万円

*1調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2自賠責保険金4000万円を加えた総獲得額は約2億5100万円である。

詳細

加害者の主張

①原告は退院後,障害者福祉施設で作業を行ったり,他の利用者や職員と雑談を行ったりすることもあるのだから,一定の労働能力は残っており,逸失利益の算定に当たり労働能力喪失率を100%とすることは認められない。
②原告には職業介護人は必要なく,家族が限定的に関与するだけで十分であり,将来介護費用は日額2000円とすべきである。
③本件事故は双方青信号での交差点における直進自転車(原告)と左折自動車(被告)の衝突事故であり,原告にも左折してくる自動車の動向を十分に注意しなかった過失があるから,15%の過失相殺をすべきである。

裁判所の判断

①障害者福祉施設での作業は一般的な就労とは全く異なり,福祉的観点から職員の保護を受けながら作業をしているだけである。他の利用者との雑談もすぐに終わってしまう程度のものであり,実質的な対人関係維持能力はない。したがって,原告は高次脳機能障害のため労働能力を100%喪失している。
②原告には常時の見守り・声掛けを始めとする介助が必要である。将来介護費用は,福祉施設に通所している症状固定後5年間は日額6300円,固定から6年後~母親が67歳になるまでは日額1万5000円(母親が仕事を休む土休日は6300円),母親67歳以降は日額1万7000円とする。
③原告は事故当時横断歩道上を横断していた上,被告は衝突時まで自転車の存在に気付かなかった著しい過失があることも踏まえると,原告の過失は0%である。

当事務所のコメント/ポイント

交通事故で高次脳機能障害1級を負った被害者には,常時の介護が必要である。この事例では,被害者が通所している福祉施設で行われている活動を根拠に,相手側から「常時の介護は不要である」という反論がなされた。そこで,我々において,被害者に必要な見守りや声掛けといった介護の内容とその負担の大きさについて丁寧に主張した結果,裁判所は我々の主張を全面的に支持し,相手側の主張を排斥した。加えて,相手側からは15%の過失相殺の主張もなされたが,これも加害者の事故当時の前方不注視などの事実を指摘した結果,裁判所に被害者の過失をゼロと認めさせることができた。結果的に最終的な総獲得額は,逸失利益約9520万円や将来介護費用約8340万円を含めて約2億5100万円と高額になった。

- 引用 -

高次脳1級の事案において総獲得額2億5000万円超を獲得した例