交通事故での弁護士相談|高次脳機能障害でお悩みの方へ

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過失逆転事案(35%→15%)。速度超過等を理由とした加害者側による過失相殺35%の主張を排斥し,相殺率15%と認定させた。

千葉地方裁判所管轄内

■高次脳機能障害(判例137)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2014年 和解
■千葉地方裁判所管轄内

被害者の状況

①17歳・男性(会社員)
男性 受傷時17歳 会社員
原告がバイクで交差点を直進中,交差点を対向車線から右折してきた被告自動車に衝突された。
脳外傷による高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

治療関係費

約530万円

付添看護料

約160万円

逸失利益

約9,620万円

退院までの将来付添看護料

約960万円

将来介護費用

約1億1,380万円

将来介護雑費等

約3,080万円

住宅改修費用

約960万円

成年後見関連費用

約390万円

傷害慰謝料

約330万円

後遺障害慰謝料

約3,200万円

その他

約40万円

損害額

約3億0,650万円

過失15%控除後

約2億6,050万円

既払い保険金控除(任意)

-約1,040万円

自賠責保険金控除

-約4,000万円

近親者慰謝料

約250万円

*1調整金

約2,490万円

*2最終金額

約2億3,750万円

*1調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2自賠責保険金4000万円を加えた総獲得額は約2億7,750万円である。

詳細

加害者の主張

①原告には事故当時,大幅な速度超過の事実があったと思われる上,被告自動車が概ね右折を終えたタイミングで交差点に進入してきた(被告既右折)事実も認められるから,35%の過失相殺をすべきである。
②原告の将来介護費用については最大限控えめに見積もって算定すべきである。

・原告の反論

①被告側は独自の工学鑑定に基づき原告バイクの速度超過を主張するが,被告側(保険会社側)が提出する工学鑑定結果を見ると,刑事記録などと異なる独自の摩擦係数を用いていて,内容に誤りがあるから,原告による速度超過の事実は認められない。また,被告自動車の早期右折完了(既右折)についても明確な根拠がない。したがって,原告の過失はせいぜい15%に過ぎない。
②原告には常時の見守り・声掛けを始めとする介助が必要であり,その負担は著しく重い。原告の家庭は母子家庭であるところ,母親は今後就労の必要性があるから,退院帰宅後の介護については可能な限り職業介護を利用する必要性も高い。よって,将来介護費用は最大限高めに見積もるべきである。

・最終的にこれら2点について原告の主張に沿った内容での和解が成立。なお,原告の将来の在宅介護費用は,母親が今後就労復帰することを前提に,家族介護料(仕事の休日等)日額1万円,職業介護人を依頼する日については日額2万円とされた。

当事務所のコメント/ポイント

交通事故で高次脳機能障害1級を負った被害者には,常時の介護が必要である。このような事例の経験が豊富な我々においては,本件でも被害者に必要な見守りや声掛けといった介護の内容とその負担の大きさについて丁寧に主張立証を行った。その結果,裁判所は家族介護料(仕事の休日等)日額1万円,職業介護人を依頼する日については日額2万円という高額な水準を基礎に,約1億1380万円の高額な将来介護費用を認定した。
加えて,保険会社側からは独自の工学鑑定に基づく35%の過失相殺の主張もなされたが,これも我々において刑事記録を分析し,さらに協力関係にある工学者の協力も取り付けた上で,保険会社側の鑑定結果が不合理であることを指摘した結果,過失相殺率を15%に減らすことができた。
結果的に最終的な総獲得額は,逸失利益約9,620万円や将来介護費用約1億1,380万円を含め,過失相殺後もなお約2億7,750万円ときわめて高額になった。

- 引用 -

過失逆転事案(35%→15%)。速度超過等を理由とした加害者側による過失相殺35%の主張を排斥し,相殺率15%と認定させた。