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高次脳2級,自賠責別表第一併合2級の被害者につき,きわめて高額な総獲得額約2億9,200万円を勝ち取った例

一審 さいたま地裁管内、二審 東京高等裁判所管轄内

■高次脳機能障害(判例171)
■後遺障害等級:2級3号、併合2級 確定年:2017年 和解
■一審 さいたま地裁管内、二審 東京高等裁判所管轄内

被害者の状況

①17歳・女性(高校生)
女性 受傷時17歳 高校生
原告が青信号に従い自転車で交差点自転車横断帯上を横断中,赤信号無視で交差点に進入してきた被告トラックに衝突された。
別表第一併合2級(脳外傷による高次脳機能障害2級3号,目の障害併合9級,聴力障害9級)

認められた主な損害費目

家族付添費用(症状固定前)

約590万円

逸失利益

約8,430万円

将来介護費用

約9,320万円

住宅改造費用

約360万円

介護機器費用

約80万円

傷害慰謝料

約400万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約1,050万円

損害額

約2億3,030万円

既払金控除

-約1,650万円

自賠責保険金控除

-3,000万円

近親者慰謝料

約500万円

*1調整金

約7,320万円

*2最終金額

約2億6,200万円

*自賠責保険金3,000万円を加えた総獲得額は約2億9,200万円である。

詳細

加害者の主張

①  原告の高次脳機能障害は自賠責2級であり,「常時介護」(1級)ではなく「随時介護」に過ぎないから,介護負担は重いとは言えない。また,将来の介護機器の発展や公的サービスの拡充により,介護費用は将来低額になる可能性がある。したがって,高額な将来介護費用は不要である。
② 原告は女性であるから,逸失利益算出の前提となる基礎収入は,統計上の女子平均賃金を前提とすべきである。また,被害者は事故当時高校生であったところ,企業の就職面接に行ったことがあり,高卒で就職する予定だったと思われるから,統計上の高卒平均賃金を前提とすべきである。

原告の反論

① 原告は自賠責2級と言う重い高次脳機能障害に加え,目や耳の障害も残存しており,介護の負担はきわめて重い。その介護を,家族(平日は母親1人)だけで行うには限界があり,ある程度職業介護を利用する必要がある。
  また,将来の介護費用の推移については,介護の人手不足に伴い処遇改善が叫ばれている状況であるから,むしろ将来高額化することが見込まれる。
よって,原告の将来の在宅介護費用は,家族介護料日額8,000円,職業介護人を依頼する日については日額2万円が相当である。
② 統計上の女子平均賃金は,男女不平等であった過去の実績が反映されているため,男子平均賃金と比べて不当に低い金額となってしまっている。原告は事故当時高校生であり,男女雇用機会均等が進んだ昨今,性別を理由に基礎収入を低く見積もることは許されない。また,事故当時は高卒後進学していた可能性も残っていたから,統計上の高卒平均賃金を前提とすべきではない。よって,基礎収入は統計上の男女両方の,全学歴計の平均賃金を用いるべきである。

・最終的にこれら2点について原告の主張に沿った内容での和解が成立。

当事務所のコメント/ポイント

 高次脳機能障害2級に加えて目や耳の障害も負った被害者について,保険会社側は「1級ではなく2級の高次脳機能障害にしては金額が高すぎる。介護費用は将来安価になる可能性もある。」という主張を行った。これに対し我々は,「被害者の障害像全体を考慮すれば,介護の負担は重く,高額な将来介護費用が必要である。また,介護業界の人手不足等世情に鑑みれば,介護費用は将来高額になっていくと見込まれる」と適切に反論した。その結果裁判所は,(他の障害も残存しているとはいえ)高次脳機能障害2級の事例としては異例の高額な基準(上記のとおり家族介護日は日額8,000円,職業介護利用日は日額2万円)で将来介護費用を算定し,計約9,320万円を認めた。
また逸失利益の点に関しては,最新の裁判実務上の取扱いを我々において正確に理解していたことから,適切な主張を展開することができ,その結果男女不平等の過去を引き摺った古い考え方を排除することができた。
さらに事故から和解まで5年以上が経過し,7,000万円超もの遅延損害金も認められたことから,3億円に近い高額な賠償額を獲得することができた。