交通事故での弁護士相談|高次脳機能障害でお悩みの方へ

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過失相殺45%の高次脳機能障害1級被害者(症状固定時44歳)について,適切に人身傷害保険金を請求した結果,損害賠償額と人身傷害保険金額等を合わせた総獲得額が2億4000万円超と高額に達した事例。

岐阜地方裁判所管轄内

■高次脳機能障害(判例200)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2019年 和解
■岐阜地方裁判所管轄内

被害者の状況

①42歳・男性(会社員)
男性 受傷時42歳 会社員
原告が自転車で交差点を横断中,交差道路を直進してきた被告自動車に衝突された事故。
高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

治療費

約700万円

付添看護料

約280万円

休業損害

約360万円

逸失利益

約2,420万円

将来介護料

約1億2,050万円

住宅改造費

約1,020万円

介護機器等費用

約1,610万円

成年後見人費用

約790万円

傷害慰謝料

約400万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

近親者慰謝料

約500万円

その他

約480万円

損害額

約2億3,410万円

*1過失45%控除
控除後

-約1億0,530万円
約1億2,880万円

既払い保険金(任意)控除

-約820万円

障害年金控除

-約490万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

*2調整金

約2,230万円

*3最終金額

約9,800万円

*1人身傷害保険金約1億円が過失相殺分に塡補されるため,実質的な過失相殺額は-約530万円相当となる。
*2調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*3自賠責保険金4000万円,障害年金490万円及び人身傷害保険金約1億円を加えた総受取額は約2億4290万円である。

詳細

加害者の主張

①原告の病状と,介護を行う両親が高齢であることに鑑みれば,将来介護費用は在宅介護ではなく施設介護を前提に算定すべきであって,具体的には最大でも日額1万5000円程度が妥当である。

②原告が自転車で道路を横断した現場は交差点となっており,被告側が優先道路だったのだから,65%の過失相殺をすべきである。

裁判所の判断

①居住の自由の見地から原告に施設介護を強制する理由はないし,また医学的に見ても原告に対しては家族の手厚い見守りが得られる在宅介護が望ましい。よって当面の間在宅介護が継続することを前提に,日額2万2000円で将来介護費用を算定する。

②確かに本件事故現場は交差点であった上に被告側が優先道路であったことは事実である。しかし現場交差点は特殊な形状であり,原告自転車の行動は交差点の横断と言うよりも単なる道路横断に近い側面もあることを考慮して,過失相殺率は45%に留める。

【当事務所のコメント/ポイント】

高次脳機能障害1級障害を負った被害者を自宅で介護するため,介護負担の大きさ等について詳細な立証を行った。本件では保険会社側から「在宅介護より施設介護の方が現実的ではないか。将来介護費用は施設介護を前提に控えめに算定すべきだ」旨主張がなされた。これに対しては我々から,被害者にとっては医学的見地と人道的見地の双方から在宅介護が望ましいこと,そしてその在宅介護を行う上では様々な費用が必要となるため,十分な金額の将来介護費用が賠償される必要のあることを強く反論した結果,最終的に裁判所は高額な基準(日額2万2000円)の将来介護費用計約1億2050万円を認定した。加えて,住宅改造費用や介護機器等費用についても十分な金額の認定を受けることができた。
また,過失相殺に関して,保険会社側は事故現場が交差点であって加害者側の優先道路であった事実を主張して65%の過失相殺を主張した。この点については加害者側が優先道路との保険会社側指摘は事実ではあったが,我々において現場交差点の形状が非常に特殊であって,被害者側に重い過失を負わせるべきでない旨最大限の反論を尽くした結果,被害者の過失は45%に留まるとの貴重な判断を勝ち取ることができた。
なお,最終的に過失相殺率は45%と認定されたが,事故前より被害者が加入していた人身傷害保険に対し人身傷害保険金(1億円)も適切に請求した結果,過失相殺分が優先的に補填され,総取得額は自賠責保険金及び人身傷害保険金を併せて(当方の過失が45%あるにも拘わらず)約2億4290万円と,きわめて高額な成果になった。
もっとも,仮に万が一被害者が人身傷害保険に加入していたければ,総獲得額はこれより1億円少ない結果に留まっていたはずである。このことからも,人身傷害保険の重要性を改めて再認識させられた事例でもあった。