交通事故での弁護士相談|高次脳機能障害でお悩みの方へ

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過失相殺25%の高次脳機能障害1級被害者について,適切に人身傷害保険金を請求した結果,損害賠償額と人身傷害保険金額を合わせた総獲得額がきわめて高額の約3億1700万円に達した事例。

神戸地方裁判所管轄内

■高次脳機能障害(判例207)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2020年 和解
■神戸地方裁判所管轄内

被害者の状況

①21歳・男性(専門学校生)
男性 受傷時21歳 専門学校生
原告二輪車が交差点を直進中,対向車線から右折してきた被告自動車に衝突された事故。
高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

治療費

約150万円

付添看護料

約220万円

逸失利益

約9,730万円

将来介護料

約1億3,540万円

住宅新築費

約810万円

介護機器等費用

約1,070万円

成年後見人費用

約100万円

傷害慰謝料

約370万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約490万円

損害額

約2億9,280万円

*1過失25%控除
控除後

-約7,320万円
約2億1,960万円

既払い保険金(任意)控除

-約550万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

*2人身傷害保険金控除          

-0円

*3調整金

約4,290万円

*4最終金額

約2億1,700万円

*1人身傷害保険金約6000万円が過失相殺分に塡補されるため,実質的な過失相殺額は-約1320万円相当となった。
*2人身傷害保険金約6000万円は全額が過失相殺分に填補されるため,控除対象とならない。
*3調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*4自賠責保険金4000万円及び人身傷害保険金約6000万円を加えた総受取額は約3億1700万円である。

詳細


加害者の主張

①原告は自賠責保険により高次脳機能障害1級の認定を受けているとは云え,介護負担がきわめて重いかどうかは不透明であるし,仮に負担が重すぎるのであれば在宅介護ではなく施設介護とすることによって介護費用を抑えることが可能である。

②原告二輪車は当時,制限速度を時速30km以上超過して運転していたのであるから,50%の過失相殺をすべきである。

裁判所の判断

①原告の現実の症状に鑑みれば介護負担は重く,介護者2人での介護が不可欠である。だからと言って,原告に施設介護を強制する理由はなく在宅介護を前提に介護費用を算定すべきである。そこで,将来介護費用は母が67歳になるまでは日額1万8000円,母67歳以降は完全職業介護を前提に日額2万2000円とする。

②原告二輪車の当時の速度は,結論として制限速度を時速30km以上も超過していたとは認められないから,過失相殺率は25%に留める。

【当事務所のコメント/ポイント】

①人身傷害保険金の請求について

本件は,自転車で道路を横断した原告にも一定の過失(最終的には25%の過失相殺)が見込まれたである。そこで我々は,加害者(保険会社側)に対する訴訟に先立ち,被害者一家が加入していた人身傷害保険に対して人身傷害保険金を請求し,まずは6000万円の人身傷害保険金を取得した。その結果,その後に行った訴訟において,6000万円の人身傷害保険金額は全額が,被害者の過失相殺分に充当されることとなった。このため,実質的な過失相殺額を本来の-約7320万円から-約1320万円相当に抑えることができ,ご家族にとって非常にご安心いただける結果となった。

②裁判について

高次脳機能障害1級障害を負った被害者を自宅で介護するため,介護負担の大きさ等について詳細な立証を行った。本件では保険会社側から「将来介護費用の算定においては,裁判では控えめな認定をしなければならない。本件においては介護負担がきわめて重いかどうかは不透明であるし,仮に負担が重すぎるのであれば在宅介護ではなく施設介護とすることによって介護費用を抑えることが可能である」旨主張がなされた。これに対しては我々から,病状が重篤な被害者に対する介護負担の大きさを詳細に主張立証し,また施設介護へと被害者を誘導するかのような保険会社側の主張は被害者にとってきわめて過酷であることを強く反論した結果,最終的に裁判所は在宅介護を前提として適正な基準(母67歳までは日額1万8000円,母67歳以降は完全職業介護を前提に日額2万2000円)の将来介護費用計約1億3540万円を認定した。
また,過失相殺に関して,保険会社側は原告二輪車による時速30km以上の速度超過を主張したが,我々において適切な反論を尽くした結果,被害者の過失は25%に留まるとの判断を勝ち取ることができた。
加えて前述の人身傷害保険金の適切な請求もあり,過失相殺分が優先的に補填され,総取得額は自賠責保険金及び人身傷害保険金を併せて(当方の過失が25%あるにも拘わらず)約3億1700万円と,きわめて高額な成果を上げることができた。