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鎖骨変形、右腓骨変形で併合11級男性、労働能力喪失期間・喪失率について争われるも和解案を大幅増額した事案

東京地方裁判所管内

■上下肢切断・機能障害他(判例033)
■後遺障害等級:併合11級 確定年:2012年和解
■東京地方裁判所管内

被害者の状況

①33歳・男性(会社員)
受傷時33歳・症状固定時35歳・男性(会社員)
信号機規制のある交差点で加害自動車が左折するに際して、後方から同一方向に進行して
いた被害原付バイクを巻き込み左折した事案
鎖骨変形12級、右腓骨変形12級 併合11級

認められた主な損害費目

逸失利益

約1180万円

傷害慰謝料

約350万円

後遺障害慰謝料

約420万円

その他

約950万円

損害総額

2,900万円

過失相殺(10%)

-約290万円

損害填補(任意)

-約880万円

調整金(※1)

約120万円

和解金額

1,850万円

※1遅延損害金、弁護士費用等を含む

詳細

加害者の主張

①被害者に残存した障害は鎖骨と腓骨変形のみであり医療記録上も具体的な運動機能への障害を伴っていないと言えること、仕事へ問題なく復帰している旨の記載があること等から、せいぜい疼痛などの神経症状が残るだけであるから、労働能力喪失率5%、喪失期間5年が相当であると主張。
②交差点での自動車と自転車の巻き込み左折事案の基本過失割合は自転車側20%であるところ、被害自転車と加害自動車の距離は相当あったといえるから"直近左折"には当たらず、過失割合の修正は認められないと主張。

裁判所の判断

①裁判所は当初の和解案において、腓骨変形は14%・10年、鎖骨変形は5%・5年として逸失利益は680万円程度であると認定した。これに対して、当方からは、骨折をして腓骨には偽関節が残っている以上、障害は一生残るものであること、鎖骨についても利き手である右手に影響が出ている上に、建築現場での現場作業員であることから重いものを持てない等の支障は小さくないこと等を詳細に主張立証し、和解案に対して、増額意見を述べた。
その結果、当初総額1,400万円程度であった和解案について、最終的には約450万円の増額となった。
②当方からは、刑事記録上も、左折開始直後に事故が発生していること、加害者が2秒間の間隔があったと主張しているがそれではおよそ原付バイクが停まれない時間・距離間隔であること等を詳細に指摘し、裁判所和解案でも、"直近左折"に該当すると認定し、基本の過失相殺率20%から修正を加えて相殺率は10%に留められた。
③上記①の増額意見等の結果、1,850万円での最終金額となった。

当事務所のコメント

骨の変形障害の場合、一見障害が重度であることは明らかなように思われますが、賠償の場面では、単に変形したというだけでは、労働への影響は小さいのではないかとして、相手方から争われ、裁判所においても等級基準通りの喪失率・喪失期間を認めないというケースが少なくありません。
本件においては、裁判所は、和解案の提示時点で、喪失期間を10年間に限定しており、被害者に相当不利な内容となっていました。これに対して、当事務所では、これまでの主張内容に併せて、和解金額の増額を求める意見書において、適切な認定となるように意見を述べました。その結果、逸失利益について増額が認められ、和解金額について全体で約450万円もの増額が認められました。
このように裁判所の和解案は、その時点での裁判所の認識・認定に基づいているものではありますが、判決となるまでに動かす余地がある場合があり、裁判所の意見をそのまま受け入れるのではなく、証拠関係等も見極めて、しっかりと裁判所に対して意見を述べることで、和解金額の増額に繋げることができます。
以上

- 引用 -

鎖骨変形、右腓骨変形で併合11級男性、労働能力喪失期間・喪失率について争われるも和解案を大幅増額した事案