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下肢障害併合11級男性につき、人工血管置換手術を受けたために必要となる将来治療費が認められ自賠責を合わせて総額2,000万円以上を獲得した事例

京都地方裁判所管内

■上下肢切断・機能障害他(判例040)
■後遺障害等級:併合11級 確定年:2016年和解
■京都地方裁判所管内

被害者の状況

①47歳・男性(給与所得者)
受傷時47歳 固定時50歳・男性(給与所得者)
交差点内で右折をした加害車両が、直進進行していた被害バイクに衝突した右直事故
左膝関節機能障害12級、右小指用廃13級 併合11級

認められた主な損害費目

休業損害

約300万円

逸失利益

約1,600万円

治療費(高血圧症治療を含む)

約1,210万円

将来治療費

約100万円

傷害慰謝料

約260万円

後遺障害慰謝料

約400万円

その他

約90万円

損害総額

3,960万円

過失相殺(5%)

-約200万円

損害填補(労災休業給付)

-約1,780万円

損害填補(任意)

-約300万円

損害填補(自賠責)

-約330万円

調整金(※1)

約580万円

和解金額

1,930万円

※1遅延損害金及び弁護士費用を含む
※2訴外獲得の自賠責保険金を合わせると総額約2,260万円での解決となった。

詳細

加害者の主張

①過失相殺について、被害者は加害者が直近右折(早回り右折)したと主張したところ、両車両の位置関係に照らして早回り右折には該当しない旨争い、20%の過失相殺を主張した。
②加害者は、被害者が本件事故にかかる手術後に高血圧症となり治療を継続しているのに対して、カルテ上の検査結果を引用して、動脈狭窄を否定する医師の所見があり、高血圧は、手術の影響によるものではないと主張した。

裁判所の判断

①当方からは、刑事記録を精査し、被害者が相当な減速をしていなければ衝突を回避できないような位置関係にも関わらず加害者が右折を行ったことを主張立証し、早回り右折(直近右折)であると主張した。その結果、裁判所和解案でも加害者の直近右折が認められ、過失相殺率は5%にとどめられた。
②当方からは診療録記載を丁寧に検討の上、さらに医学的資料として専門書籍や論文等についても言及し、高血圧症が高度狭窄以外にも原因があり得ること、特に人工血管置換術後は動脈コンプライアンスの低下によって生じる可能性があることを指摘、高血圧の治療を行った医師の医療照会回答書などの医証を引用し、高血圧が人工血管置換手術の影響によりものであることを緻密に立証した。その結果、裁判所和解案でも、被害者の喫煙などの他の要因にも言及をしつつも、高血圧となった原因は、人工血管置換手術にあることを認め、症状固定までの高血圧にかかる治療費と、さらに将来にわたる高血圧治療および人工血管置換手術の経過観察などにかかる治療費について認定した。
③損害総額としては約3,900万円が認定され、過失相殺処理をした上で、調整金を含めた約1,900万円の和解が成立し、自賠責保険金を合わせて2,000万円以上の賠償金を獲得して解決となった。

当事務所のコメント

高血圧は、一定の年齢に達すると多くの方に見られるようになる症状でもあり、本件のように手術の影響によることを立証するためには、医療記録を相当深く理解し、読み込む必要があり、また、医師による否定的見解が記載されていても、その所見の元となった検査の経緯や、判断に十分な資料がそろっていたのかという点に至るまで精査することが必要となります。本件では、多くの後遺障害が残った方の訴訟を取り扱ってきた当事務所の経験が生きたために、証拠を取り漏らさず、裁判所の評価につながる立証ができた好例と言えます。

- 引用 -

下肢障害併合11級男性につき、人工血管置換手術を受けたために必要となる将来治療費が認められ自賠責を合わせて総額2,000万円以上を獲得した事例