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紛争処理センター案を訴訟で5倍|遷延性意識障害|交通事故

前橋地裁管内 (和解)

■遷延性意識障害(判例010)
■後遺障害等級:1級3号 確定年:2009年
裁判所認定額 約7,400万円
■前橋地裁管内 (和解)

裁判所認定額 約7,400万円

被害者の状況

①53歳・女性(主婦)
② 自転車で渋滞中の幹線道路を横断中、左から走行してきた乗用車と衝突
③ 脳挫傷で遷延性意識障害 1級3号
④ 被害者は重篤な障害を負っていた事案であるが、損保側の和解案は2,200万円というものであった。その和解案に納得できない家族が当事務所に訴訟を依頼されたときには、すでに事故から7年という長い歳月が経過し、時効の問題さえ浮上していた。
⑤ もともとは紛争処理センターで話し合いが行われていたが、被害者の過失が大きかったということもあり、当時の自賠責保険の上限を下回る2,200万円という低さの提案があり、被害者はこの額の受け入れにつき判断を迫られていた。

認められた主な損害費目

将来介護料 約7,600万円
逸失利益 約3,300万円
休業損害 約500万円
住宅改造費 約670万円
介護器具備品等 約700万円
将来雑費 約800万円
後遺障害慰謝料
約2,800万円
近親者慰謝料 約700万円
その他
約1,930万円
損害額
約1億9,000万円
過失60%控除後損害額
約7,600万円
弁護士費用
約700万円
遅延損害金
約2,570万円
総計
約1億870万円
既払控除(任意保険)
▲約470万円
既払控除(自賠責)
▲約3,000万円
最終金額 約7,400万円

(表題は上記表のうち、自賠責3,000万円と最終金額7,400万円を合算した、1億400万円を表示しています)

詳細

加害者の主張

①すでに時効を迎えているのではないか。

②自宅介護は無理である。

③被害者の過失は80%以上ある。

裁判所の判断

①訴訟に先だって被害者の生活状況を安定させるため、当事務所は自賠責に被害者請求を行った。この時点まで自賠責に請求をしていないということは、信じがたいことだったが、心配されていた重過失減額も行われず、何とか満額の保険金3,000万円を受け取ることができた。

②他方被告は、事故から7年経っているので時効を主張してきた。これは明らかに不当なもので、我々は相手側の保険会社を社会的に糾弾することも辞さないと強硬に反論。その結果、なんとか提訴にこぎつけることができた。

③当事務所が医師から自宅介護可能という報告書を取り付けた上で、自宅の改造費や職業介護人の必要性を訴えたところ、裁判所はその主張を全面的に聞き入れ、職業介護料日額1万8,000円、家族介護8,000円、住宅改造費も700万円全額を認めた。その結果、解決までの年月を考慮に入れ、遅延損害金と弁護士費用として合計3,270万円を認め、結果的に裁判を起こすことによって、合計1億800万円、紛争処理センターの和解案の5倍という高額な和解を成立させることができた。

④紛争処理センターであきらめていたらどうなっていたかと冷や汗をかく事案であった。

当事務所のコメント

①紛争処理センターでは、市町村からの福祉費を賠償金の一部におきかえるべきだという主張もされていたが、「福祉費は賠償金の中に含めない」という判例もあり、その誤り等を正した結果、原告側に過失が60%ありながら今回のような高額賠償につながった。

②事案によってケースは異なるが、紛争処理センターの弱点を露呈した事案であり、訴訟にした結果、賠償金も高額になり更に多額な調整金(弁護士費用・遅延損害金)が認められた一例である。