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遷延性意識障害1級の事案においてきわめて高額な将来介護料が認められた例

名古屋地方裁判所管轄内

■遷延性意識障害(判例025)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2012年 和解
■名古屋地方裁判所管轄内

被害者の状況

①30代後半・男性(会社員)
男性 受傷時30代後半 会社員(正社員)
原告がバイクで交差点を直進中,同交差点を対向車線から右折してきた被告自動車に衝突された。
遷延性意識障害1級1号

認められた主な損害費目

付添看護料

約420万円

逸失利益

約4,440万円

住宅改修費

約2,000万円

将来介護料

約1億5,710万円

介護用設備等費

約1,770万円

介護雑費等

約700万円

傷害慰謝料

約450万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約430万円

損害額

約2億8,720万円

既払い保険金控除(任意)

-約820万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

既払保険金控除(人身傷害)

-約6,000万円

近親者慰謝料

約600万円

*1調整金

約2,960万円

*2最終金額

約2億1,460万円

*1調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2自賠責保険金4000万円,人身傷害保険金約6000万円を加えた総獲得額は約3億1460万円である。

詳細

加害者の主張

①事故当時,原告は前方不注視のままバイクを運転していたと思われることから,35%の過失相殺をすべきである。
②原告は遷延性意識障害のため意思疎通が不可能で,且つ定期的な痰の吸引などの措置が必要な身体状態であるから,自宅介護は困難であり,医療機関での介護を前提に将来介護費を算定すべきである。

裁判所の判断

①事故当時,原告が前方不注視のまま運転していた事実を裏付ける根拠はない。したがって,過失相殺は15%とすべきである。
②医療機関での介護は永続的に入所可能なわけではないのであって,今後転院の負担を家族に負わせ続けるべきではないこと等を踏まえると,原告の将来介護については在宅介護を前提に費用を算定すべきである。原告の将来の在宅介護費用は,家族介護料日額8000万円,職業介護人を依頼する日については日額2万円が相当である。

当事務所のコメント/ポイント

本件の最大の争点は,遷延性意識障害1級障害を負った被害者を自宅で介護することが可能か否かである。相手側からは「被害者の容態が変化した時に速やかに対応できる医療機関での継続入院が望ましい」との主張がなされたが,同じ病院に永続的に入所できるわけではないことを踏まえ,当方からは今後の転院の負担を家族に負わせ続けることは不当である旨強く反論を行った。加えて家族において在宅介護のため準備を整えていること,担当医師も在宅介護は可能と判断していることも主張した結果,被害者の将来介護は在宅で行うことが相当との裁判所判断を勝ち取った。さらに,病状が重篤な被害者に対する介護負担の大きさを詳細に主張した結果,将来介護費用は,後遺障害1級として高額な基準(家族介護料日額8000円,職業介護人を依頼する日については日額2万円)により計約8300万円も認められた。加えて高額な水準の介護関連費用も認められた結果,総取得額は自賠責保険金を併せて約2億4000万円ときわめて高額なものになった。

- 引用 -

遷延性意識障害1級の事案においてきわめて高額な将来介護料が認められた例