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遺族抗議の再捜査で加害者実刑。過失も大逆転|死亡|交通事故

前橋地裁管内(和解)

■死亡事案(判例009)
■後遺障害等級:  確定年:2009年
■前橋地裁管内(和解)

被害者の状況

①16歳・女性(高校生)
②自転車で信号のない交差点を横断中(車両側優先道路、一時停止の標識あり)、左方からの速度超過車と衝突し死亡

認められた主な損害費目

逸失利益

約4,300万円

死亡慰謝料

約2,400万円

近親者慰謝料

約400万円

葬儀慰謝料

約150万円

その他

約50万円

損害額

約7,300万円

過失10%控除後損害額

約6,560万円

調整金※

約640万円

最終金額

約7,200万円

※弁護士費用及び遅延損害金相当額

詳細

本件の問題点

①警察官の捜査と当方の活動

被害者は事故時、友人3名とともに現場交差点を横断していた。友人たちはすでに警察で1回目の調書を取られていたが、遺族が早い時期に当事務所に相談に来られたことから、すぐに彼らと面談したところ、警察では「死亡した女子高校生に一時停止違反があった」という加害者の供述に沿った内容の調書を作成されていたことが確認できた。そこで、遺族とともに警察に強く抗議し、再捜査をさせた結果、被害者は一時停止をしていたこと、さらに加害者は40キロ制限の道を80キロ以上の高速度で走行してきたことも明らかになった。
その後、加害者は正式起訴され、結果的に実刑判決が確定。

②女子高生の逸失利益

高卒の平均賃金か、大卒の平均賃金か、大きな違いあり。

裁判所の判断

①過失と慰謝料

この事件は、加害者が自己保身のために一方的に虚偽の供述をし、被害者に多大な過失をなすりつけようとした。その悪質性を考慮し、当事務所は民事裁判で慰謝料の増額を主張。通常は近親者込みで2,200万円とされている両親の慰謝料を、2800万円に増額させた。

②逸失利益

被害者は死亡時高校生だったが、本人の努力や能力の高さ、将来の職種等の多様性を主張・立証した結果、就労可能年数を高校卒業時としつつも、基礎収入は大卒の女子全年齢平均賃金に相当する金額が採用された。その結果、16歳の女子としては高額な逸失利益が認定された。

③賠償額 

16歳の女子高校生としては合計7,000万円という異例な高額となった。

当事務所のコメント

①警察の捜査について

本件は、警察が加害者の証言を鵜呑みにし、さらに被害者と同年の同級生にも加害者の証言に沿うよう供述をねじ曲げようとしていた。我々は、それを厳重に抗議をなし、捜査を一からやり直させて、この結果を得たのである。

②まとめ

遺族が早く行動を起こしていなければ、加害者は不起訴となり、過失の大半は被害者に押しつけられていただろう。まさに「死人に口なし」とも言える事案だったが、早い段階で当事務所にご相談いただけたことで、被害者の過失は10%にとどめることができ、最悪のケースを免れることができた。