55歳兼業主婦女性の死亡事案につき死亡慰謝料増額事由が認められた事例
東京地方裁判所管内
■死亡事案(判例016)
■確定年:2012年和解
■東京地方裁判所管内
被害者の状況
①55歳・女性(兼業主婦)
事故時55歳・女性(兼業主婦)
交差点横断歩道を青信号横断中だった被害者に信号無視の加害トラックが衝突したもの
死亡
認められた主な損害費目
逸失利益(就労分) |
約2,650万円 |
逸失利益(年金分) |
約250万円 |
死亡慰謝料(本人) |
約2,200万円 |
近親者慰謝料 |
約450万円 |
葬儀費用 |
約150万円 |
その他 |
約30万円 |
弁護士費用 |
約630万円 |
損害総額 |
約6,300万円 |
遅延損害金(※1) |
約865万円 |
総合計額 |
約7,165万円 |
※1年5%の遅延損害金が付加される。本件は事故から2年半以上が経過しており、約865万円の遅延損害金が認められた。
詳細
加害者の主張
加害者自身は刑事裁判中まで自身が青色信号であったと認識していたため、刑事裁判においても謝罪が遅れた、また刑事責任を否認したことは被告人の権利行使である等と主張し、加害者の態度は不誠実とは言えず、死亡慰謝料は近親者と合わせて2400万円にとどまると争った。
裁判所の判断
①当方からは、信号無視という悪質な事故態様であったこと、被害者本人は、事故後14日間ご存命であったが一度も見舞いにも来ていないこと、信号無視であるという点について多数の目撃証言があるにも関わらず、自身の曖昧な記憶に従って刑事責任を争い、刑事裁判を無用に長引かせたこと等から加害者の態度が非常に不誠実であり、これによって遺族感情が傷つけられたことを主張立証し、裁判所も判決において「その態度は誠実とは言い難い」、遺族について家族である被害者を「失った悲しみは大きい」と認定して、被害者本人と近親者慰謝料を併せて約2,650万円の慰謝料を認めた。
②当方は、被害者が兼業主婦であり今後も継続して勤務する予定であったことを主張立証し、裁判所も判決において実収入以上の女性全年齢平均賃金での逸失利益を認めた。
③事故から2年半以上が経過したことに対して、年5%の遅延損害金が認められ、遅延損害金として約865万円が認められた。これを併せて、最終解決金額は約7,165万円となった。
当事務所のコメント
①死亡慰謝料は、死亡した本人と近親者の固有慰謝料を併せて総額が決められるのが一般的です。本件では、加害者が遺族らに対して不誠実な態度を取り続けたことを刑事記録や遺族からの聴取内容に基づいてしっかりと主張し、総額で約2,650万円の慰謝料が認められました。
②損害元本について、しっかりとした訴訟活動により、死亡事案として相当な金額が認定されました。これによって、事故からの経過日数に応じて支払われる遅延損害金についても約865万円の賠償金を獲得することができました。
- 引用 -