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自損事故扱いされた過失を大逆転|脊髄損傷|交通事故

名古屋高裁 【一審】名古屋地裁管内

■重い脊髄損傷(判例005)
■後遺障害等級:1級 確定年:2006年
■名古屋高裁 【一審】名古屋地裁管内

被害者の状況

①20歳・男性( )
外傷性脊椎損傷、左下腿骨骨折等で両下肢麻痺(1級3号)
② 右カーブを曲がろうとした被害者の大型自動二輪車が、中央線をはみ出した状態で停止していた対向の普通乗用車を避けようとしてガードレールに衝突。
③ 当初は被害者の自損事故扱いとされていたため、自賠責の被害者請求をおこなうことも難しく、自費で治療に当たっていた。

認められた主な損害費目

逸失利益 約8,900万円
将来介護料 約5,400万円
住宅改造費 約1,800万円
将来雑費 約800万円
車椅子等機器 約700万円
後遺障害慰謝料 約2,800万円
近親者慰謝料 約300万円
その他 約1,200万円
約2億1,900万円

過失相殺30%控除後 1億5,400万円

詳細

加害者の主張

・加害者は刑事で不起訴処分となり、その後、中央線をはみ出した状態で停止していたことも否認。民事裁判でも過失ゼロ(無責)を強く主張していた。

裁判所の判断

①当事務所は刑事記録等から対向車のセンターラインオーバーを立証すべく、目撃者の陳述書や現場のビデオを提出。法廷では目撃者と担当警察官の証人尋問も行った。その結果、判決では、一審・二審とも、加害者のセンターオーバーを認め、加害者の過失を認定した。

②被害者の前方不注視の過失については、地裁では被害者側の過失を40%、高裁ではさらに10%低い30%と認定した。

③近親者介護と職業介護を平均して日額8,000円が、原告の平均余命57年間について認められた。

④住宅改造については、改造図面の作成者の詳細な陳述書および、当時の住居のビデオ撮影によって、住宅改造の必要性と改造の内容を詳細に立証。その結果、請求どおり1,800万円を超える高額な費用が認められた。

⑤また、将来雑費や車椅子などの福祉機器についても緻密な立証を行った結果、約1,500万円が認められた。

⑥本人は家業の米屋の従業員をしていたが、将来の職業従事の可能性から、男子高卒全年齢平均賃金を基礎収入とした逸失利益が認められた。

当事務所のコメント

①無責を強硬に主張していた相手側に対し、あきらめることなく立証。結果的に7割の過失が認められ、自賠責上の免責の主張を大逆転した事案である。

②その結果、極めて高額な賠償となった。