子どもの高次脳機能障害3級。高額な将来介護料|交通事故 弁護士
福島地裁管内 (判決)
■高次脳機能障害(判例037)
■後遺障害等級:3級
併合2級 確定年:2008年
裁判所認定額 約1億7,900万円
■福島地裁管内 (判決)
裁判所認定額 約1億7,900万円
被害者の状況
①10歳・男児(小学校5年生)
② 自転車で道路を横断中、直進のダンプカーにはねられた
③ 脳挫傷による高次脳機能障害、3級。併合2級
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約7,900万円 |
---|---|
将来介護料 | 約5,500万円 |
将来治療費 | 約600万円 |
後遺障害慰謝料 | 約2,400万円 |
近親者慰謝料 | 約400万円 |
その他 | 約1,600万円 |
損害額
|
約1億8,400万円 |
過失20%控除後損害額 | 約1億4,700万円 |
弁護士費用 | 約800万円 |
遅延損害金(9年相当) | 約6,000万円 |
総計
|
約2億1,500万円 |
既払控除
|
▲約3,600万円 |
最終金額 | 約1億7,900万円 |
()
詳細
加害者の主張
①事故の原因は男児の飛び出しのため、40%の過失あり。
②被害者は子供なので、将来は十分回復するはず。そもそも高次脳機能障害3級の場合、将来介護料は不要。
裁判所の判断
①当事務所が現場にいた同級生の証言などを集めたところ、実際には男児は飛び出しておらず、通常の横断であったことが明らかになった。そこで、当事務所はその事実を裁判で立証。その結果、男児の過失は20%にまで減らすことができた。
②加害者側は「将来介護料は不要」と主張してきたが、事故後、養護学校に通学し、卒業後は福祉作業所に通っていた被害男児は、実際には他者の手助けなしに日常生活はできない状況にあった。そこで、当事務所がその実態を緻密に立証した結果、裁判所は高次脳障害3級でありながら、職業介護1万円、家族介護7,000円を認めた。
当事務所のコメント
①被害者が子供の事故の場合、相手側は「飛び出し」と決めつけて主張しがちである。本件も例外ではなかったが、当事務所はそうした主張に屈せず、現場調査及び同伴児童の証言を採取し、更に目撃証言などを丁寧に集め、事故の事実関係を立証することで、過失割合を半分の20%に減らすことに成功した。
②高次脳3級の場合、加害者側の多くは自賠責を援用して「将来介護料不要」という主張を展開してくるが、当事務所は介護現場に足を運び介護者の証言を得るなどして被害者の日常生活をきちんと立証した。3級であっても高額の将来介護料が十分に認められるということが証明できた事案でもある。
③「子供だから将来的に回復する可能性が大である」という主張も同様に、日常生活の緻密な立証で覆すことが可能である。